2012/12/13
<社内勉強会>東北地域で始まったイノベーションと雇用創出
〜復興から新興を目指す事業家たち〜
東日本大震災からまもなく2年。
震災による被害は、東北の課題である過疎化・高齢化・働き手の減少・産業衰退を10年早めました。日本の未来の縮図ともいえる東北に必要なこと、それは震災前に戻す復興ではなく、価値観の転換を伴う新しい地域づくり・産業づくりです。そこで、地元の人を中心に企業も巻き込んで始まった新たな取り組みについて、一般社団法人新興事業創出機構(JEBDA)の鷹野秀征理事長に話を伺い、テレビ東京にできることについて考えました。

一般社団法人新興事業創出機構(JEBDA)
鷹野秀征理事長
■東北地域における産業復興・雇用創出の現状
基幹産業である水産業・農業については、数値だけを見ると復旧が進んでいるようにも見えますが、インフラの復旧が遅れ加工や販売が進まないなど、長期的に見ると厳しい状況であることが、改めてわかりました。
【水産業、農業】
- 漁船の復旧は目標通り進んでいるものの、陸揚げ機能の復旧率は3割強。
- 被災水産加工施設の6割が業務再開、一方その生産量は3割にとどまっている。
生産量が減った分、スーパーなどでの棚面積が減り、新たな販路の開拓が必要となっている。 - 営農再開可能な農地面積は4割弱となったが、作付けは来年以降。
【観光】
- 復興需要で宿泊施設の回復は進むが、観光利用は震災前の2割減。
- 沿岸部は施設がなく厳しい。
【雇用創出】
- 特に沿岸部ではミスマッチが多く雇用が進まない。
- たとえば、建設や福祉は求人が多く、食品製造や事務職は求職が多い。
また、復興需要による緊急雇用の賃金が一時的とはいえ高く、地元の水産業や建設業の給与を上回っているため、元の職に人が戻りづらい。
■価値観の転換を伴う新しい地域産業づくりの事例紹介
こうした中、地元出身の若者を中心に、新たな地域づくりが始まっていました。
以下、具体的な事例で、いずれもJEBDAが支援しているプロジェクトです。
宮城県亘理町「わたりグリーンベルトプロジェクト」
震災で失われた防潮林を再生させようという取り組みで、市民主導で進めていたものが、後追いで行政の計画にも盛り込まれた。
<震災前にはなかった新たな取り組み>
- 町民参加、ワークショップなどを開催して新たなアイデアを生み出している。
- 農地と防潮林を一体化して運営する新しい形。
- 植林体験や農業体験(主要農産物はイチゴ)などのボランティアツーリズム事業が新たな観光資源に。
山元町「イチゴを中心とした先端施設園芸に取り組む農業生産法人」
農業にICT(情報通信技術)を応用し、農水省と連携して事業を展開。
<震災前にはなかった新たな取り組み>
- ICTの活用。
- 今までイチゴ生産に関わってきた人の職を奪わないかたちで、新品種を開発。
高級イチゴの開発でブランド化。 - 企業やJICAとの協働で、インドでのイチゴ栽培に進出。
いわき市「コメバーガー」
福島の米でコメバーガーをつくり世界に売る。
<震災前にはなかった新たな取り組み>
- シアトルで販売交渉中、逆輸入を狙う。米も日本米を現地で生産。
- 社食での販売など、企業との協働。
石巻市「希望の環」
現地のお店が連携して"石巻ブランド"を共同開発。
<震災前にはなかった新たな取り組み>
- これまではライバルだったお店同士が連携することで、たとえば「絆セット」といった共同商品の開発、また共同販売や共同調達による効率化が図れる。
- 地域連携で地域ブランド(石巻ブランド)を開発。
■企業に求められること
地元の若者を中心に新しい動きが始まっていますが、人材、資金、販路開拓、マネジメントなど、事業を推進していくうえでの課題は山積です。そうした中、企業としては、資金サポートだけでなく、人的リソースや事業リソース(専門性、市場機会、取引先、業界ネットワーク)など、様々なかたちでサポートをすることができることがわかりました。
最後に自社でできることについてアイデア出しをしました。
震災からまもなく2年。現地の人々は「風化」を一番恐れています。番組やコンテンツといった本業でも、社内に対する取り組みでも、「関心を持ち続けてもらうための機会提供」をしていくことが大事だということになりました。
テレビ東京グループは、番組やコンテンツといった本業で「頑張る人や企業/地域そのものの魅力/人や家族の絆/多様性の芽を育てる」を大切にしており、これらがテレビ東京グループらしさにつながっています。一次産業を主とする東北にお世話になっている番組も多く、復興に向けてもテレビ東京グループらしい支援ができればと思いました。


グループに分かれて今後できることについて意見交換
