2015/7/23
放送・制作現場での取り組み
より良質な番組をめざして
番組づくりにメリットをもたらすファイル化への取り組み
テレビ東京では、取材・収録からOA、アーカイブなどの二次利用に至るワークフローのファイルベース化を進めています。テープベースからファイルベースへの移行によって、映像制作における作業効率や編集のクオリティーを向上。より良質な番組づくりをめざしていきます。
より安心・安全な映像を届ける体制
長年にわたり、国内の放送業界ではテープベースのワークフローが主流でした。ところが近年は国内外への番組販売やDVD販売、ネット配信といった番組の二次利用の需要が拡大。それに伴い、使いやすいデータが求められるようになりました。また、コンピューター技術の進化により誰もが容易にデータを扱えるようになり、現在は業界全体でファイルベースへの切り替えが進んでいます。
テレビ東京では報道局を皮切りに、2014年8月から本格的なファイル化がスタートしました。それにより、様々なメリットが生まれています。その一つが、映像伝送の簡易化。テープベースでは衛星回線を使い大容量の映像信号を送っていましたが、ファイル化することで世界中のどこからでもパソコンとインターネットで容易に映像信号を送信できるようになりました。また、送られてきた映像をサーバーに取り込む工程では、テープは実時間を要するのに対し、データは実時間の1/4~1/5の時間で完了。一つのテープの編集は基本的に一人しか行えませんが、データであれば簡単に共有でき、複数人が同時に編集できるなど、あらゆる場面で作業効率が向上します。
さらに、高度な編集が速やかにできるようにもなりました。たとえばテープではモザイクなどの映像加工に時間がかかってしまうので、生放送直前に加工が必要な映像が届くと対応しきれないこともあります。一方、データであれば思い通りに加工しやすくなり、短時間で確実に加工を施すことが可能。フラッシュ映像の点滅を和らげる加工もすぐにできるなど、安心・安全な映像をお届けする体制がより強化されています。
ファイル化が実現する省資源
環境面でのメリットも生まれました。テープの重ね撮りは10回程度が限界でしたが、ファイル化に伴って採用したディスクは1000回以上の書き換えができます。しかもテープは保管状況によって傷みやすく再生不能になることがありますが、ディスクは傷みにくく保管しやすくなっています。また、テープ1本で約2時間分の映像を収録できるのに対し、アーカイブ専用ディスクは1カートリッジで約50時間分の収録が可能な上、保存寿命が50年以上と耐久性が高いことも特長。つまり、ディスクを利用することで省資源を実現しているのです。
さらなる“良質”を求め続ける
テレビ東京でのファイル化はまだ始まったばかり。メリットがある一方で、いくつかの課題も見えてきています。たとえば映像のデータが集まるサーバーは24時間稼働しているので、より省電力な機械の導入を検討していかなければなりません。データ量が膨大なため、必要な映像の検索も難しくなっています。データ流出がないよう厳しく管理しつつも、検索しやすい・使いやすい管理体制の構築が急がれます。また、現在使用しているテープの再生デッキの修理・対応期限である2023年3月末までに、過去のテープをデータに変換しなければなりません。
現在は報道局がファイル化への移行を完了し、続いてスポーツ局も来年秋の新社屋での導入に向けて検討を進めています。また、昨年10月から一部の番組もファイル化での納品が開始され、将来的にはすべての番組をファイル化する予定です。課題を一つひとつクリアし、ファイル化によるメリットを活かしたより良い番組づくりを行っていきます。

テープには映像の注意点などを書いたメモを添え、担当者へ手渡ししていた。しかしファイル化すると映像の受け渡しはデータ送信で完結するため、担当者間の直接やり取りが発生しない。ミスがないよう、丁寧にコミュニケーションをとる意識が必要となる。

テープ1本で約2時間分の映像を収録。一方アーカイブ専用ディスクは、1カートリッジで約50時間分の収録が可能。ディスクの利用が省資源につながる。


テープ(右)に比べディスク(左)の方が大幅にコンパクトで、省スペース化を実現。
